2012年08月20日
<1日目> よれよれの、餓鬼岳(2647m)登頂 2012年 8月11日 曇り時々雨
白沢登山口(993m)6:15-紅葉の滝(7:25)-魚止の滝(7:55)-8:05鉄梯子下の渡渉点8:25-8:50
最終水場 9:05-10:25ガレ場上部10:45-11:20大凪山11:30-13:20百曲入り口13:30-14:45餓鬼岳小屋
一昨年高天原に行った際、大町からも野口五郎からも見えた餓鬼岳。 その時から行ってみたいと思っていた。「登ってみたい」ではなく「行ってみたい」という感覚。
裏銀座のコースから見える姿、特に唐沢岳がその山々のどん詰まりっていうふうに見えたから。要するに頂点に達するというよりは最果てに行くという、別の意味でのあこがれが勝っていたのだ。ただ今回はその「最果て」唐沢岳までは行けない。それでも北アで一番静かな(営業)山小屋と言われる餓鬼岳小屋に一泊するのもいいだろう。
というわけで8月第2週の週末、その餓鬼岳へ行くことにした。しかし本格的な山登りは今年初。登山口からの標高差は1600m以上もある。ということで、コースタイムを2割ほど上回る、約8時間の登行計画。ちょっとだけ不安が胸をよぎる中、金曜夜発の「ムーンライト信州」の乗客となった。
信濃大町の駅から登山口まではタクシーで20分ほど。(料金は山小屋の方の言うとおり4000円ぴったり)
僕らが着くと同時に割と軽装の二人組が出発。多分日帰りで往復するのだろう。こちらは朝飯を食いゆっくりと支度する。我々の出発直前にタクシーがもう一台到着。こちらはソロのお嬢さん、荷物からするときっとテン泊だろう。
さて、登山口は林道が2つに分かれているところ。餓鬼岳へは左の道へ入っていく。
10分ほどその林道を歩くと、左に標識が現れる。ここからが本格的な登山道。
林のなかを白沢の流れに降りて行く。
橋を渡り右岸の道を行く。 沢の水量はそれほどでもない。 これなら渡渉も全く問題ないだろう。 ただ、道は何度も高巻きと降下を繰り返す。
そのたびに沢が近くなったりずっと下になったりする。
途中、桟道や梯子も多いがよく整備されていて歩きやすい道だ。
そんな沢沿いの道を歩くこと1時間強で、紅葉の滝が見えてくる。
滝そのものは大きなものではないが、確かに周りには楓が生い茂っている。秋の様子を想像するだけでも楽しい。
その先もまた同じような道が続いていく。
木々に陽は遮られているし、沢沿いなので涼しいはずが・・・暑いε=ε=(;´Д`)
いや、沢に降りた時はそれなりに涼しいのだが、
上を歩いているときが・・・・
それでも周りの花々を眺めながらアップダウンを繰り返し、少しずつ標高を稼いでいくとほどなく「魚止の滝」に到着。
ここで小休止をと考えていたのだが、いい場所を探している間に道は滝の左側を巻いて登っていくようになった。
その先、ちょうど滝を登りきったあたりで再び沢へ下りて行く。鎖につるされた鉄梯子を降りた、滝上部の渡渉点で一服する。
休んでいると先ほどのソリスタもやってきた。
「暑いですねえ・・・」
「ホント。でも、ここ涼しいよ。でも、あっと言う間に追いつかれたね・・・」
「いいえ、私遅いんですよ」
(そんなことはありません・・)
「単独テント行とはすごいねぇ」 と、カミサンも感心する。
「どうせ、またすぐ(追いつかれて)お会いするでしょうけど、お先に・・」
そこからはまた少し沢筋を離れ勾配のある道を登っていく。
その先で「足が攣った!」 とカミサンが急停止。
小さな橋で支沢を渡ったところにベンチがあったので
そこでもう一度休む。 偶然だが、そこが「最終水場」だった。(きっと何もなければそのまま通過していたに違いない) すぐに男性一人と2人組の方が上がってきた。
一人は大町の隣池田の方で、
「寝過して、7:40に家を出た」とのこと。(こちらはもう歩いていた時間・・この方も日帰りですね)
2人組の若者はテン泊のよう。 間もなく先ほどの女性も到着。(後でわかったことだが、ここでこの日の入山者の過半数が落ち合ったことになる。)
先に着いていた僕らが出発。「この先、危険なところがありますので気をつけて」
と、2人組の方が声をかけてくれた。(やはり、この山のベテランみたい・・・)
水場を過ぎると本格的な登りになる。まずは大凪山まで500mほど、
木の根も多くうっそうとした樹林帯の中の道。
男性1&2名には早々と抜かれてゆっくりと登る。羊歯類の中にカニコウモリが咲いている。
沢から離れると暑さがまた増してきて、汗が次から次へと滴り落ちる。小一時間ほどで白いザレザレの坂にさしかかった。かなり急な坂でなおかつやたら滑るので歩きにくい道だ。ここで、オッサン写真を撮った際にレンズキャップを落としてしまった。
そいつはその急坂をころころ転がって30mほど下でとまった。見えなければあきらめもつくがそこにあるのが分かっていれば当然取りに行く。だが、こいつが結構きつかった。この道をずっと降りて行くのはご免こうむりたい気分...
そしてそのザレた坂を登りきったところ、先行の2名が休んでいた場所で僕らも休憩。
「危険な場所って、ここのことだったんですね」
ザレ坂の話になる。以前ここで滑落して頭から血を流しているところに遭遇したという。
彼らが出発してまもなくソリスタも通過。
「きつい坂でしたねー」 「ほんとに・・・・」
しばらく休んでこちらも出発。まずは大凪山を目指す。
ここからはいわゆる普通の登山道。でも暑いし結構傾斜も急だ。
ダケカンバから笹原の道になって少し行くと突然何の変哲もない場所に山頂標識がある。ソリスタが休憩中。
さきほどの休憩地点から40分も歩いていないがついついつられてこちらも一服。
それからは傾斜は緩むが少しずつでも高度も上がってきているようで、今日歩いてきた白沢の谷も見えてくる。
ちょっと足場の悪い場所やスリルのあるところも通過するがもうそれほど危険な感じはない。
ただ、この辺りで雨が降ってきた。
(大したことはないが、念のため一眼のカメラをしまいザックカバーをつける)
ここからが長く感じた。特徴のない道というのもあったがなんとなくバテ気味。だらだらと時間をかけて登っていく羽目になった。次の目安である「百曲り入口」がなかなか現れてくれない。
結局大凪山から2時間弱もかかってしまったその場所の手前には紛らわしい標識が・・・
<<百曲り入り口 → あと60分>> だと。一瞬その「入り口」まで1時間もかかるのかと錯覚。
だが、もちろん歩いた距離、標高を考えてもそんなわけはない。
そこでまた一休み。ここで最初に登山口でお会いした2人組が降りてきた。
「(頂上では、周りも)結構見れましたよ」 とのこと。その言葉を励みに最後の登りにかかる。
ここもごくごく普通のよく整った登山道だがなかなか足が前に進まない・・・というか、息は上がるが足上がらず・・・っていう感じだ。ただ、予想もしてなかったこのあたりの花たちが救い。チングルマが花から穂になるところを見られたのはうれしい。 で、その60分行程も15分オーバー、木立の間に小屋のTVアンテナが見えたときはほっとした。
小屋についてまずオッサン「ビール飲みてぇ」・・・と叫ぶ?
だが、「飲んだら頂上行く気力なくなるよ」 との冷静なお言葉が・・・・(はいっ、正論ですね)
で、荷物を置いて山頂へ。
残念ながら遠くの山々はうっすら見える程度だったが、明日歩く予定の稜線はくっきり見える。
コマクサもその可憐な姿を見せてくれていた。
さて、小屋に戻ると先ほどからだったがお姉さま二人がビール片手に談笑中。
でも登山靴もザックも見当たらない???
お聞きすると昨日来たそうで、隣の個室があてがわれていたらしい。この日は唐沢まで行ってきたという。
室内とはいえ動いてないと寒い。さっきまでの暑さはなんだったのか・・とも思うがこれも山の常。薪ストーブにあたりながらこちらも一杯。
結局この日の登山客は後から登ってきた九州の方を含めて5人だけ。
小屋の方にきいたらこのお盆前後は人が少ないのだそう。
この日の夕食は炊き込みご飯とおでんがメイン。昨日は散らし寿司だったそう。
でも、広い部屋で3人だけ。
昨夜眠れなかったせいもあったが、結構ぐっすり眠れた一夜だった。
白沢登山口(993m)6:15-紅葉の滝(7:25)-魚止の滝(7:55)-8:05鉄梯子下の渡渉点8:25-8:50
最終水場 9:05-10:25ガレ場上部10:45-11:20大凪山11:30-13:20百曲入り口13:30-14:45餓鬼岳小屋
一昨年高天原に行った際、大町からも野口五郎からも見えた餓鬼岳。 その時から行ってみたいと思っていた。「登ってみたい」ではなく「行ってみたい」という感覚。
裏銀座のコースから見える姿、特に唐沢岳がその山々のどん詰まりっていうふうに見えたから。要するに頂点に達するというよりは最果てに行くという、別の意味でのあこがれが勝っていたのだ。ただ今回はその「最果て」唐沢岳までは行けない。それでも北アで一番静かな(営業)山小屋と言われる餓鬼岳小屋に一泊するのもいいだろう。
というわけで8月第2週の週末、その餓鬼岳へ行くことにした。しかし本格的な山登りは今年初。登山口からの標高差は1600m以上もある。ということで、コースタイムを2割ほど上回る、約8時間の登行計画。ちょっとだけ不安が胸をよぎる中、金曜夜発の「ムーンライト信州」の乗客となった。
信濃大町の駅から登山口まではタクシーで20分ほど。(料金は山小屋の方の言うとおり4000円ぴったり)
僕らが着くと同時に割と軽装の二人組が出発。多分日帰りで往復するのだろう。こちらは朝飯を食いゆっくりと支度する。我々の出発直前にタクシーがもう一台到着。こちらはソロのお嬢さん、荷物からするときっとテン泊だろう。
さて、登山口は林道が2つに分かれているところ。餓鬼岳へは左の道へ入っていく。
10分ほどその林道を歩くと、左に標識が現れる。ここからが本格的な登山道。
林のなかを白沢の流れに降りて行く。
橋を渡り右岸の道を行く。 沢の水量はそれほどでもない。 これなら渡渉も全く問題ないだろう。 ただ、道は何度も高巻きと降下を繰り返す。
そのたびに沢が近くなったりずっと下になったりする。
途中、桟道や梯子も多いがよく整備されていて歩きやすい道だ。
そんな沢沿いの道を歩くこと1時間強で、紅葉の滝が見えてくる。
滝そのものは大きなものではないが、確かに周りには楓が生い茂っている。秋の様子を想像するだけでも楽しい。
その先もまた同じような道が続いていく。
木々に陽は遮られているし、沢沿いなので涼しいはずが・・・暑いε=ε=(;´Д`)
いや、沢に降りた時はそれなりに涼しいのだが、
上を歩いているときが・・・・
それでも周りの花々を眺めながらアップダウンを繰り返し、少しずつ標高を稼いでいくとほどなく「魚止の滝」に到着。
ここで小休止をと考えていたのだが、いい場所を探している間に道は滝の左側を巻いて登っていくようになった。
その先、ちょうど滝を登りきったあたりで再び沢へ下りて行く。鎖につるされた鉄梯子を降りた、滝上部の渡渉点で一服する。
休んでいると先ほどのソリスタもやってきた。
「暑いですねえ・・・」
「ホント。でも、ここ涼しいよ。でも、あっと言う間に追いつかれたね・・・」
「いいえ、私遅いんですよ」
(そんなことはありません・・)
「単独テント行とはすごいねぇ」 と、カミサンも感心する。
「どうせ、またすぐ(追いつかれて)お会いするでしょうけど、お先に・・」
そこからはまた少し沢筋を離れ勾配のある道を登っていく。
その先で「足が攣った!」 とカミサンが急停止。
小さな橋で支沢を渡ったところにベンチがあったので
そこでもう一度休む。 偶然だが、そこが「最終水場」だった。(きっと何もなければそのまま通過していたに違いない) すぐに男性一人と2人組の方が上がってきた。
一人は大町の隣池田の方で、
「寝過して、7:40に家を出た」とのこと。(こちらはもう歩いていた時間・・この方も日帰りですね)
2人組の若者はテン泊のよう。 間もなく先ほどの女性も到着。(後でわかったことだが、ここでこの日の入山者の過半数が落ち合ったことになる。)
先に着いていた僕らが出発。「この先、危険なところがありますので気をつけて」
と、2人組の方が声をかけてくれた。(やはり、この山のベテランみたい・・・)
水場を過ぎると本格的な登りになる。まずは大凪山まで500mほど、
木の根も多くうっそうとした樹林帯の中の道。
男性1&2名には早々と抜かれてゆっくりと登る。羊歯類の中にカニコウモリが咲いている。
沢から離れると暑さがまた増してきて、汗が次から次へと滴り落ちる。小一時間ほどで白いザレザレの坂にさしかかった。かなり急な坂でなおかつやたら滑るので歩きにくい道だ。ここで、オッサン写真を撮った際にレンズキャップを落としてしまった。
そいつはその急坂をころころ転がって30mほど下でとまった。見えなければあきらめもつくがそこにあるのが分かっていれば当然取りに行く。だが、こいつが結構きつかった。この道をずっと降りて行くのはご免こうむりたい気分...
そしてそのザレた坂を登りきったところ、先行の2名が休んでいた場所で僕らも休憩。
「危険な場所って、ここのことだったんですね」
ザレ坂の話になる。以前ここで滑落して頭から血を流しているところに遭遇したという。
彼らが出発してまもなくソリスタも通過。
「きつい坂でしたねー」 「ほんとに・・・・」
しばらく休んでこちらも出発。まずは大凪山を目指す。
ここからはいわゆる普通の登山道。でも暑いし結構傾斜も急だ。
ダケカンバから笹原の道になって少し行くと突然何の変哲もない場所に山頂標識がある。ソリスタが休憩中。
さきほどの休憩地点から40分も歩いていないがついついつられてこちらも一服。
それからは傾斜は緩むが少しずつでも高度も上がってきているようで、今日歩いてきた白沢の谷も見えてくる。
ちょっと足場の悪い場所やスリルのあるところも通過するがもうそれほど危険な感じはない。
ただ、この辺りで雨が降ってきた。
(大したことはないが、念のため一眼のカメラをしまいザックカバーをつける)
ここからが長く感じた。特徴のない道というのもあったがなんとなくバテ気味。だらだらと時間をかけて登っていく羽目になった。次の目安である「百曲り入口」がなかなか現れてくれない。
結局大凪山から2時間弱もかかってしまったその場所の手前には紛らわしい標識が・・・
<<百曲り入り口 → あと60分>> だと。一瞬その「入り口」まで1時間もかかるのかと錯覚。
だが、もちろん歩いた距離、標高を考えてもそんなわけはない。
そこでまた一休み。ここで最初に登山口でお会いした2人組が降りてきた。
「(頂上では、周りも)結構見れましたよ」 とのこと。その言葉を励みに最後の登りにかかる。
ここもごくごく普通のよく整った登山道だがなかなか足が前に進まない・・・というか、息は上がるが足上がらず・・・っていう感じだ。ただ、予想もしてなかったこのあたりの花たちが救い。チングルマが花から穂になるところを見られたのはうれしい。 で、その60分行程も15分オーバー、木立の間に小屋のTVアンテナが見えたときはほっとした。
小屋についてまずオッサン「ビール飲みてぇ」・・・と叫ぶ?
だが、「飲んだら頂上行く気力なくなるよ」 との冷静なお言葉が・・・・(はいっ、正論ですね)
で、荷物を置いて山頂へ。
残念ながら遠くの山々はうっすら見える程度だったが、明日歩く予定の稜線はくっきり見える。
コマクサもその可憐な姿を見せてくれていた。
さて、小屋に戻ると先ほどからだったがお姉さま二人がビール片手に談笑中。
でも登山靴もザックも見当たらない???
お聞きすると昨日来たそうで、隣の個室があてがわれていたらしい。この日は唐沢まで行ってきたという。
室内とはいえ動いてないと寒い。さっきまでの暑さはなんだったのか・・とも思うがこれも山の常。薪ストーブにあたりながらこちらも一杯。
結局この日の登山客は後から登ってきた九州の方を含めて5人だけ。
小屋の方にきいたらこのお盆前後は人が少ないのだそう。
この日の夕食は炊き込みご飯とおでんがメイン。昨日は散らし寿司だったそう。
でも、広い部屋で3人だけ。
昨夜眠れなかったせいもあったが、結構ぐっすり眠れた一夜だった。
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この記事へのコメント
1. Posted by takaboh 2012年08月26日 16:11
こちらはまた厳しそうな山道ですね。
登った時の気持ちは格別だったのではないでしょうか。
景色、楽しませていただきました。
大変お疲れ様でした。
登った時の気持ちは格別だったのではないでしょうか。
景色、楽しませていただきました。
大変お疲れ様でした。
2. Posted by mackk 2012年08月27日 19:44
拙いブログにいつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。
今年はあまり山にいけなくて、これが最初の本格的登山でした。なので、とにかく最後の1時間は足が上がらず大変でした。でも普段グータラ生活をしている身にはこんなことも必要かと思っています。おまけに素晴らしい景色にもめぐり合えますし・・・・・
今年はあまり山にいけなくて、これが最初の本格的登山でした。なので、とにかく最後の1時間は足が上がらず大変でした。でも普段グータラ生活をしている身にはこんなことも必要かと思っています。おまけに素晴らしい景色にもめぐり合えますし・・・・・