2012年03月12日
そして、いよいよ夕食の時間。 基本的に花屋さんは部屋食だ。
最近、夕食は食事処で供される宿が増えてきた(おそらくそういう趣向の宿泊客が増えてきているのだと思う)。もちろんそれはそれなりにいい面もあるのだが、酒飲みのオッサンにとっては部屋のほうが気楽でいい。
<食事処ではだいたい最後までいる客になるし、たいていは禁煙だ!>
我々の部屋についてくれた係りの方はまだあどけない?娘さん。
胸の名札に「見習い」と書いてある。
ちょっと心配ではあったが、これまでもそういった場面には何度か出くわしている。
だが、食器ひとつ出すのにもガチガチ音をたてるくらい手が震えている。
「緊張しないでいいから」 って言っても 「はぃぃ…」 って感じで
「なんか今日、一番緊張してる。 あぁ 手が思うように動かないー!!」
と、なぜかかなりビビッている。おまけに
「あー、こんなの初めてぇぇ。どうしよう・・・」と泣き出しそう。
カミサンが料理のことを聞くと(その間にもいろいろあったのだが)、もうパニック状態に・・・ついには涙までこぼれだしてしまった。
ここでウチの山ノ神が噴火!!!
「ちょっと、上の方呼んできて」
だと。
こちとら、そんなことはどうでもいいから、早く一杯やりながらつまみたかったのだが・・・(だいたいお品書きも出てるんだしいいじゃねぇ・・・と思うのだが)こういうときは何か言うと火に油を注ぐのは長年の経験から身についている。
で、上の方がみえていろいろ釈明。
「そんなんじゃだめ、ここの一番偉い人を呼んできなさい!!」
おおー、そこまできたか、こりゃあ長引くな。
ってのは、
<これまで花屋さんの接客にとても満足していたので、ゆっくりしようと思ってここに来たのに・・・・・>
といったところでしょう。 昨年末に母親が亡くなったこともありちょっと情緒不安定になっていたのかも・・・おまけにここ別所温泉には数年前の年末年始、(この宿は取れなかったが)母親と一緒に来ていたのでいろいろな思いが交錯した気持ちもあったのだろう・・・・
(そういうこともまぁしかたない?)のかとも思う。支配人のような方がみえてやっと矛先がおさまった。
でも後でその見習いの彼女(だったかその上の方だったかは定かではないが)に、(固辞する相手に無理やり?)心づけを渡していたので、少しは言いすぎたと思ったのかもしれない。
この先の話は今回のことではなく一般的な話として。誰でも「見習い」時代を通過するのは当たり前。小売の店でも見習い中という名札をつけているのをよくみかけるが、それって「お手柔らかに」の免罪符なのか・・・まあ客としてはある程度は仕方ないと思える。多分、欧米でもそんな in training てのはみたことはある。でも、それはそれ。どんな立場であっても、誰もがその企業の顔であることが当たり前なのだからきちんと仕事をこなして普通のこと。まあそのあたりをひたすら許す風潮もまた日本のよさでもあるのかもしれないし、また悪く言えば馴れ合い社会の欠点なのかもしれない。(いい加減を旨とするオッサンとしては前者でもいいのではとおもうのだが・・・?)
(↑ 食事はもちろんおいしかったですよ)
そんなこともあったが、翌朝も温泉を満喫。
11時チェックアウトなので、それこそゆったり過ごす。
帰りには昨夜の上司Hさん(女性・多分20代後半だと思うが、学生時代にアルバイトでここに来てそのまま社員になったという、とても前向きな姿勢の方。)とS総務部長さんが見送りに。
お土産を渡されるが、もちろんそれは固辞。
それでも旅館経営?に関するちょこっとしたお話を伺って宿を辞した。
前回も書いたがここ別所温泉はもう何度も来ているので、とりあえず北向観音に詣でた(喪中ゆえ、脇から行っただけ)のみで駅へと向かう。
上田に戻って、ぜひ行きたかったのが柳町だ。
旧北国街道の石畳敷きの町並みが美しい(その詳細はこちらでどうぞ)。
もう4回目になるが、ここの味噌蔵「菱屋」さんの味噌を調達したかったのだ。
<真田の地に「菱」の屋号というからにはおそらく武田の血が流れているに違いない。>
この時期にここでしか購入できない「寒仕込」がいい。普通の味噌より麹の香りが強いのにくせがない、さっぱりした味とまろやかな風味が寒い冬にはとてもよく合うのだ。またここの奥様が絵画をやっていらして、数年前にやはり絵をやっている義母とその話をしていたのを思い出す。この日は娘さんが応対してくれたが、こちらの奥さんは今もお元気だそう。いつまでも元気に絵筆を手にしていてほしいと思う。
昔ながらの井戸や袖卯建の街並みを見た後、腹減ったぁ!と昔の蔵を使ったレストラン「蔵屋」さんで昼食。 ランチのメニューは限られてはいるが、この蔵の中でいつも食前酒に頂くシェリーはおいしい。
ご夫婦で営んでいる店。観光客だけではなく地元の方にも愛されているよう。いつも1時過ぎに行くのでたいてい品数が限られてしまうが、その味もさることながらこの店の雰囲気がいい。このごろはどの町にも郷土料理だけではなく、それぞれの料理人が町に馴染みその土地にあった店をやっている。それもまた、いい。
この日頂いたランチはオムライスとドリア。それぞれにサラダとスープがつく。シェリーのあとは赤ワインでくつろぐオッサンであった。
満腹になって駅へと戻る。
今回はいつものメインストリートではなく裏道を歩いた。
かなり寂れている?裏町はそれでも夜にはどんな風だろうと思わせる町並み。
こんな感じの飲み屋とか、「ボロ宿紀行」の方が好きそうな(もしかしてもう、泊まっているかも)宿もあり。
裏道から大通りへ出る路地にもすき焼き割烹みたいな建物(ただこちらはもう、営業はしていなさそう・・・)があり、なにか町の歴史を感じさせてくれた。
通りに出る角に肉屋があった。そこを覗いたら「塩茹で豚ばら肉」(=>こいつ、結構いけました)というものがあった。でそいつを購入した際、
「隣のすき焼き屋さんもこちらでやっているんですか?」 と聴いた。
「あー、もう20年以上前に廃業しました。金もかかるのでそのままにしてますけどね」
とのお話。多分、このあたりでまだ養蚕が盛んだったころには相当の賑わいだったのだろう。
(と、思わせる建物が残っているのはうれしい)
もうひとつ、上田ではいつも覗いてみる店がこの"Arkansas"、最初に来たときがちょうど米国のかの州へ行った後だったので、ついつい立ち寄った。その時に店名の由来を聞いたのだが、あまり意味はなさそう、なんとなくつけたみたいだった。その際にこ こでいいシャツを見つけて買ったので、以後行くたびに覗いてはいる。でもその後、実はあまりそそられるものはなかったのだが、今回はあったかそうなライナー付きコートがあったのでそいつを購入。先ほどの蔵屋さんといい、この店といい地域に根ざした店がどんどん新しい風を運んできているのは旅行者にとっても楽しいものだ。
さて、恒例の「最後の一浴」。
これもまた前回も入らせていただいた、上田温泉「祥園」さんの別館「寿久庵」で。
こちらは17度の冷鉱泉の沸かし湯。でも意外にこういった、沸かし湯のほうが下手な温泉よりもよかったりする。ここは、舟の形の湯船と長方形の湯船があって(多分)日によって男女入れ替えで使っているよう。
またしても湯気の中で写真はだめですが、最後に駅前の湯(歩いても5分くらい)でのんびり旅の疲れを癒して帰るオッサンだった。
<旅した日=2012年1月21-22日>
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この記事へのコメント
1. Posted by 総ちゃん 2012年03月15日 23:39
今晩は~
最近うちのお客さんは厳しくなって新人OJTも簡単に出来なくなり。若いユーザーが
” うちはお宅の新人の練習するところじゃないから!”
って、露骨に見習いは送るなと言われてしまいます。
世の中厳しいねえ~
最近うちのお客さんは厳しくなって新人OJTも簡単に出来なくなり。若いユーザーが
” うちはお宅の新人の練習するところじゃないから!”
って、露骨に見習いは送るなと言われてしまいます。
世の中厳しいねえ~
2. Posted by mackk 2012年03月17日 05:35
そうですね。
どこも厳しい結果主義っていうか、特に「米国流」のしかもうわっつらだけ、手法を踏襲しているみたいな風潮でしょう。でも、そんなもんはいずれ変わっていくと思います。
ところで昨日はすみませんでした。風がない休日に誘って下さい!Kちゃんにもよろしく
どこも厳しい結果主義っていうか、特に「米国流」のしかもうわっつらだけ、手法を踏襲しているみたいな風潮でしょう。でも、そんなもんはいずれ変わっていくと思います。
ところで昨日はすみませんでした。風がない休日に誘って下さい!Kちゃんにもよろしく