2011年07月06日
出雲から帰った翌週には、奈良田温泉・白根館へ出向いた。
実は4月の中旬に行く予定で予約してあったのだが、風邪をひいたためやむなくキャンセル。その際にこの日に予約を振り替えてもらったのだった。
が・・・・・ここは普通ではなかなか土曜日の予約は取れない宿。
やはりまだまだ世の中、自粛ムードなのだろうか・・・・
例によって中央高速の渋滞に辟易しながらも大月からはスイスイ。甲府盆地に入ると南アルプスの白い山並みがすばらしい。
中部横断道を増穂ICで降りR52、富士川沿いの道を南下する。このあたりも温泉の宝庫、次々と立ち寄り出来る温泉の標識が現れる。ちょっと寄ってみたいがそれは我慢、早川町目指して車を走らせた。
40分ほどで早川への分岐、西へ進路をとり川沿いの県道へ入る。ここでまず行きたかったのが「赤沢宿」。以前に誰かの本で知ったのだったが、日蓮宗の総本山・久遠寺と修行の山七面山をつなぐ巡礼の道「身延往還」の宿場だった場所だ。
県道から山道に入り約10分、斜面に数十軒の集落がある。まず目に付くのが「江戸屋旅館」。昔ながらの土蔵に屋号の文字が美しい。
車を集会所の脇に止め散策を開始すると、いきなりほら貝?の音とともに講の方たちの行列に遭遇。
月山でもお見かけしたが、白装束をまとった人たちが七面目指して歩いていく。
うーん、こんな風に伝統が受け継がれているのだろう。
赤沢の家並みは宿場町だったらしい佇まい。先ほど通った「江戸屋旅館」から少し下ったところには「大坂屋旅館」もある。関東だけでなく全国各地からの鑑札が飾られていてすばらしい。
昔は30軒ほどの宿屋があったというが、今では営業している家はない。
それでも小さな集落ながら気品に満ちた家並みだ。お茶の栽培もされていて、やはり静岡に近いことがうかがえる。
ぶらぶら歩いていたら腹が減ってきた。時計をみるとちょうど昼飯時だ。
集落の真ん中あたりにある「武蔵屋」でそばを頂いた。ここは地元のおばちゃんたちがやっているという、素朴なお店。手打ちのそばと小鉢のセット(これで600円)がおいしかった。特にこの季節ならではのたけのこがうまかった。
汗をかいた後は、奈良田へ向かう道沿いにある「草塩温泉」へ車を走らせた。
名前が”草津”と”塩原”のハーフなんでおもしろそう(勝手な感想ですね)。
入浴料(500円)を払って湯船へ直行。貸しきり状態の風呂は町営の温泉施設らしく、循環ではあったが大きな湯船(こちらはジェットもあって塩素臭むんむんでした)と小さな湯船が並んでいて、この小さいほうは源泉もそれなりに投入されているようでいい湯感。
事務所の奥では皆さんが葱刻みの真っ最中。(何かイベントでもあるのか・・・・わかりませんでしたが棟続きの隣はお寿司屋さんになっていて、温泉の受付もしてくれた大将もいい感じのお人柄でした。)
温泉でさっぱりした後は宿へ向かう。途中「中央構造線」の表示もあり これがフォッサマグナかと思いつつ(本当は全くの別物ですね)、で何が?という感じだったが日本列島の「背骨」を通過した。
途中には「板葺石置き屋根の民家一棟」の保存もありこれはこれで興味深い。
南アルプスといえば白籏さんを思い浮かべるのは子供の頃、切手収集が楽しみでその中の国立公園シリーズでの図柄が印象に残っていたから・・・・・氏の作品を展示する記念館は多くの場所にあるがやはり一番のフィールドである南アルプスの麓のこの場所がふさわしい。
本当はここには白峰三山を縦走して降りてきたかったのだが、それを待っているといつのことになるかわからない(笑)。でもまた南アには行きたいと思った。
すばらしい写真を鑑賞した後はお隣の「早川町歴史民俗資料館」へ。
(国内外を問わず旅先でこういう施設には必ず立ち寄るのだが)ここでおもしろかったのは「山の生活」。
雪が解けると家族全員で山に入り、小さな小屋を拠点に狩猟や山菜とりなどで1ヶ月ほど暮らしていたという昔の人の生き方がリアルに展示されている。
奈良田の語源はその昔、女帝・考謙天皇が健康回復のために奈良の都から訪れたことからだったという説もここで教わった。また、この集落の方たちの言葉は周りとは違っていたともいう。やはり歴史と文化いうものは奥深い。
呆けた頭に久々学習させた後は宿に戻り、待望の温泉。(また、ネジ逆戻り?)
男女それぞれに内湯と露天が配され、やはり時間交代で入浴できる。
浸かった瞬間、「全然違ーう!」と思ってしまった。こう言っては失礼だがちょっと前にお邪魔した草塩温泉とは大違い!お湯が身体にまとわりつくような感覚だ。当然かけ流しで新鮮だし、成分も濃いのだろう。
多くの人がこの温泉を目指してくるだけある、極上の湯だった。
露天風呂からは近くの山並みや早川の流れも見ることができる。
翌朝まで何回も堪能させていただいた。
食事は山の幸メインのこんな感じ(まだまだありましたが)。
どれもうまかったが、ここでも!
こいつははずせないですね。
一夜あけた日曜日。今日も晴天、麗しい。
宿を出てからは、まずはもうひとつ温泉「西山温泉・湯島の湯」へ・・・
かけ流しながら露天だけの湯船。
(西山温泉には有名な「慶雲閣」もあるが、立ち寄りはNGとのこと。)
ここのお湯もちょっと白根館の湯に似た、いい感じの湯だった。
そしてすばらしいのがここのロケーション。
露天の先は早川の流れがすがすがしい。
周りの木々も新緑が美しく、うっとりする。
ビニールの囲いはちょっと興ざめだが気持ちよい湯浴みを満喫した。
さて、こちらに来て見てみたいと思ったのが「見神の滝」なのだが・・・・・・
そこに行く間にまずは郷土の物産店へ・・・・
そしてその後、立ち寄ったのが「ギャラリー・オゴン」。
アフリカンチックな木の彫刻がすばらしいギャラリーだ。
ここの主、渕上照生さんの彫刻はそれぞれの作品に生命力が溢れている。
いろいろお話を伺ったがやはりこの早川で育った、オノオレカンバの材料(樺の一種?)がいいという。
確かに硬く、工作は難しそうだがつやもあって美しい。
さすがに彫刻には手が届かないが川原の流木で作ったハンガーが面白く、そいつを購入。(流木ハンガー制作のワークショップも時には催すらしいです)
奥さん?の金井君恵さんはガラス工芸をやっていてその作品も展示されている。(またもや)ネックレスにする作品を購入するカミサンだがその間に金井さんが戻ってきてチェーン止めなどをやっていただいた。
御両名としばし世間話。
とにかく木々の緑が目の保養になったことなどを言うと、
この辺り(奈良田温泉からはだいぶ下ってくる)ではもう、新緑の時期は過ぎて
葉っぱもかなり色濃くなってきたという。
(僕らにとってはそれでも素晴らしい緑だが・・・・)
その日は朝のうち野鳥ウォッチングのイベントが行われていたそうで、隣の部屋で鳥の写真を拝見。
僕らも山では鳥の声は数々聞くのだが、めったに会えることはない。
写真を撮っている方々のいろいろな苦労話?なども聞かせていただいて楽しかった。
「見神の滝」はここから30分ほど、ダム湖を過ぎて山に分け入ったところにある。
林道がこの先は通行止となっている。ここから先は静岡県の井川に続いているらしい。
いつか通ってみたい道だ。
滝は春の雪解け水を流していた。ここでもまわりの緑が鮮やかで本当に気持ちがいい。
ダムが出来る前は沢沿いにあった村も今ではなくなった。
でも高台にはここにも茶畑などもあって普段の営みが行われている。
ダムのそばには昔、学校だったという施設の「ヴィラ雨畑」がある。まずはそこで昼飯。
このラーメンが結構いけた。
叉焼の替わりか、豆腐がのっている。
(ここの豆腐料理コースもおいしそうなのですが、予約制ということです)
さっぱりした、東京風ラーメンだ。
(肉うどんもおいしかったらしいです)
「後で、温泉浸らせてもらいます」と言って。教えてもらったのがこの吊橋。
その後はヴィラ雨畑のすぐ前にある硯の資料館、「硯匠庵」を見学。
係りの方がとても親切に案内してくれ、雨畑硯の素晴らしさを教えていただいた。
このあたりはいい粘板岩の産地だそうで本場中国の書道家も一目置くそう。
工場では職人さんの仕事ぶりを見て硯造りの工程から、名作の硯の鑑賞?まで楽しいひと時を過ごさせてもらった。
また、この建物も素晴らしく、そんな話をしたら
「早川町にまだお金があったころに作ったからね」
とのこと。まだまだ交付金が多かった時代のことだろうか・・・・
で、恒例の最後の一浴。
ここまで来たら下部温泉にも行ってみたかったが、今回は
道をはさんだ先ほどのVilla雨畑にある、「すず里の湯」へ...
食堂の奥にちょっとおしゃれな外観の湯小屋がある。
14度の鉱泉を加温し利用。
そのため、循環は仕方ないのかもしれないが、
ここも小さな湯船にはいい湯が溢れている。
女湯には露天もあったようで、それもすがすがしそうだった。
まだまだ他にも行きたい場所はあったが、
”新緑に包まれた、山梨県早川町”
まさにワンダーランドだった。
date:2011.05.14 -15
◆赤沢宿 そば処武蔵屋
土日・祝日のみの営業 11:00~15:00 (冬季休業)
0556-45-3117
◆草塩温泉 (含重曹弱食塩泉)
入浴料 500円 10:00~19:00
山梨県南巨摩郡早川町草塩321-1
0556--45-2507
◆南アルプス山岳写真館 白簱史郎記念館
(共通=早川町歴史民俗資料館)
入場料 500円 10:00(土日祝 9:00)~16:30
山梨県南巨摩郡早川町奈良田486
0556--48-2552
◆奈良田温泉 白根館 (含硫黄・ナトリウム・塩化物泉)
山梨県南巨摩郡早川町奈良田344
0556--48-2711
◆西山温泉湯島の湯 (カルシウム・ナトリウム・硫酸塩泉)
入浴料 500円 10:00~18:00
山梨県南巨摩郡早川町高住758
0556--45-2511
◆ギャラー オゴン
山梨県南巨摩郡早川町町保1525
0556--45-2770
◆VILLA 雨畑
山梨県南巨摩郡早川町雨畑699
0556--45-2213
・硯里の湯 (単純硫黄泉)
入浴料 500円 10:00~19:00
◆硯匠庵
硯学料 200円
山梨県南巨摩郡早川町雨畑701-1
0556--45-2110
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この記事へのコメント
1. Posted by じゅうべい 2013年05月23日 22:36
すごいハードスケジュールですね~w(°0°)w オォー
とても同じコースは無理です
白根館の湯に一回でも多く浸かっていたいです
とても同じコースは無理です
白根館の湯に一回でも多く浸かっていたいです
2. Posted by mackk 2013年05月23日 23:53
コメントありがとうございます。
録食みにとっての週末はこんなもんですー
(そりゃ、普段の大変さはもちろんじゅうべいさんの比ではないとは思いますが)
ほかもいろいろ周ってみたいわけで…もちろん白根館の湯は最高でした。言うまでもないですね…
でも、初・早川。いろいろ回ってそれぞれ感動物でした。次は当初予定通り山を降りて、あの湯に浸かりたいものです。
録食みにとっての週末はこんなもんですー
(そりゃ、普段の大変さはもちろんじゅうべいさんの比ではないとは思いますが)
ほかもいろいろ周ってみたいわけで…もちろん白根館の湯は最高でした。言うまでもないですね…
でも、初・早川。いろいろ回ってそれぞれ感動物でした。次は当初予定通り山を降りて、あの湯に浸かりたいものです。