2011年09月
2011年09月29日
この夏の縦走はまだ行ったことのない南アルプス南部、聖から赤石あるいは光などを考えていた。
ところが、7月の集中豪雨の影響で椹島までのバスが不通(実際は行く直前に開通したのだが)となってしまった。いろいろ悩んだ挙句、ダイヤモンドコースの未踏区間(薬師岳~五色が原)を歩いて、昨年行った裏銀座の山並みを眺めてみるのをお楽しみとすることにした。
だいたい途切れた線があればつなげてみたくなるというのが人情というもので、乗り鉄屋さんがわずかな区間の乗り残しのために長い時間をかけて旅に出るのも頷ける気がする。
そしてこのコースどちらから攻めてもいいのだがやはり最後に室堂平に降りる、折立から入ることにしようと決めた。
これまで富山に行く時はほとんど急行「能登」(たまには「北陸」ね)を利用していたのだが定期列車は廃止となった。だが夏には季節列車として運行されるという。
しかしながらそれも新潟の豪雨のため運休になってしまった。
いろいろ悩んだ末、前日から高速バスで富山に行きビジネスホテルに1泊することにした。(夏休みということで時間的な余裕もあるし、宿泊代を含めても飛行機やJRで行くよりは安い!)
というわけで8 月20日土曜、昼から高速バスの乗客となる。
この日はちょうど大陸の高気圧が張り出し、暑い夏も一息つくという時節だった。だが、どうもまだ太平洋高気圧もがんばっているみたいだ。前線の真ん中に立つことだけは勘弁願いたいのだがこればっかりは文字通り運を天に任せるしかない。
バスは2号車ということで、バス会社のHPでは2号車以降はちょいと窮屈な車両になるとのことだったが1号車と同じ3列掛けのゆったりした車だった。
途中うとうとしながらもこれまでは運転しているばかりで見られなかった、関越道の車窓を楽しみながらちょいと一杯。
日本海側に出るとちょっと雲行きが怪しくなってくる。
糸魚川を過ぎ親不知を越して、富山県に入るとかなりの雨だ。車窓左に見えるはずの山もまったく見えない。
ところでこの辺のバスの停留所だが入善、魚津、黒部など各ICにある。
いちいち料金所まで下ってからまた戻るのは通過客にとってはわずらわしいが、いいアイディアだと思う。近くには駐車場もあってまさにパーク&ライド、道路上のバス停ではなくとっても使い勝手がよさそうだ。なるほど高速バスの人気が高まっている訳もわかる。(鉄の端くれとしては新幹線に頼らずとも何とかがんばってほしいものだが・・・←と言いつつあんた!バス乗ってんじゃん)
高速を降り、富山市内に入った頃には雨もだいぶおさまってくれていた。
以前大日三山の帰りに入った城南温泉の前を通過、駅に着いたのは定刻より少し早い19:45。
とりあえず今夜の宿「アパヴィラホテル」へチェックイン。
昨年12月オープンなのでまだ新しい。
部屋は・・・・まあこんなもんでしょう。
夜に富山に着いたんだから何かうまいものを食わなきゃいかん!?
のだが、さすがに翌日から山歩きの身、近くの店で簡単に。
(でも当然一杯やるのはお決まりごと)
さすがに日本酒は自粛したが、定番白えびのから揚げにコロッケ(これがうまかった)、富山といえば・・・の昆布締め、そして”たまたまあった”といわれたのがクエの卵(実はこれがお通し)。魚卵系は苦手なのだがさすがに新鮮なだけあって臭みやエグ味もなくうまい一品だった。
.to be continued.........
2011年09月25日
芦安温泉岩園館 2011年8月13~14日
バスが出発してまもなく、夕立のような強い雨が降り始めた。
”あー、歩いているときじゃなくて良かったぁ”
と乗客の誰もが感じていたと思う。
自分がここで運転していたら(もちろんできないのだが)冷や冷やものだったろうという、凄い雨脚。
おまけにこちらは傘を持っていない。
運転手さんもそのあたりは気を利かせてくれたようで、途中無線で路線バスのターミナルに入る許可を取ってくれていた(ありがたい配慮ですね)。
もっと有難いことに、ちょうどバスが広河原に到着したときには小降りになっていた。
芦安の温泉で降りたいのだけれど と係りの人に聞いてみると
甲府行きのバスに乗って車掌に伝えろとのことだった。
ということで、甲府行きバスに乗車。
車掌さんはと見れば。なんと昨年乗った甲府までのバスでの車掌さんだった。
(このかた、ちょいと天然ボケ・・あっ、いい意味ですよ・・っぽい)
相方は本当に旅館のそばで停まってくれるんだろうかと心配していた。
(でも、ちゃんと今夜の宿「岩園館」バス停で停車してくれました。)
芦安温泉岩園館は御勅使川の前、県道を挟んだ自家源泉を持つ宿。
昨年は日帰りで「南アルプス温泉」に浸かったのだったが、今年はゆっくり温泉を堪能しようと予約をしていた。
ところで、あの震災からしばらくはなんとなくぼーっとしていたのだがその後、「こういうときこそ消費して日本を元気にしなきゃ」と(前にも書いたと思うが)浪費を続けている。
その上、4月から給与も3分の1ほどカットされたのでまったく収支は合っていない。この半年でわずかだった蓄えも使い果たしている。
なのに、この旧盆という一番高い時期に温泉に一泊するなんて・・・なんとなく刹那的な気持ちが支配しているのか。もともとそんな性格だったのが加速されただけかもしれないが、まあ日本人はもっと楽観的な感覚を持つべきなのではないかと思う。(マスコミも将来について悲観的なことばかり書いているし・・・それが受けるのが国民性なのだろうが)
ギリシャやアメリカのように借金まみれで身の丈あまる浪費をするのはいかがとは思うが、まだまだ日本人は(財政は別として、一般的にだが)がんばれると思うのだが・・・・・・
と、これはお気楽能天気なオッサンの独り言と思って飛ばしてください(笑)
閑話休題。
宿に着いてまずは温泉だ。内湯は結構広くて斜めジグザグの窓がおもしろい。
「長命の湯と言われ、昔は医者がいなくてこの湯で病気、けが等を治した長寿の名湯・・・」
と書かれている。
さっぱりした湯は程よい温度(42度くらいか)で、よく温まる。
「どこから来たの--?」
ここで先客に声をかけられた。
住んでいる場所や今日山に登ってきたことなどを話す。
「あー、このあたりの山はいいよねー」
この方、”総務部総務課”の今西課長似(わかる人だけわかってください)。
柏から、奥さんの郷里であるここにお盆で親戚が集まるということで来たのだそう。
「ウチのすぐ近くにレイソルのスタジアムがあってね、試合があるときはいつも賑やかで楽しいんだよ。
ゴールが決まるのも歓声でわかるしね」
失礼ながらお年を聞くと80歳とのこと。
昨年、あの世へ行ったオッサンのオヤジと同い年だ。
「えー!? お若いですねーー」
明日は石和の温泉に行くとのこと。
家のそばにスタジアムがあって普通ならうるさいと思うのだろうがそれを楽しみにしている、そんな姿勢がその若さを保っているのかな。
楽しみの夕食は広間で。
無論、山の幸中心の献立だったが、当然はずせないのは骨酒。
山を歩いてからのこの一杯は極上だ。
ここには屋上露天風呂もある。
が、元の男湯は貸しきり湯になっていた。追加料金を払う気もないのでそれはパス。
カミサンは女湯のほうに入ってきた。(湯浴みながらの山と川はすばらしかったらしい)
それとは別に、大きな露天風呂もあり翌朝そいつを堪能。
周りの山や御勅使川の流れをながめながらのんびり浸からせてもらった。
宿を辞して甲府へのバスに乗る。
若い運転手氏に聞くと、このバス甲府駅を経由して湯村温泉を通るというので、(当初は昨年バスから見つけた「草津温泉」で最後の一浴をしようかと思っていたのだが)
まだ行ったことのなかった湯村へ行くことにした。
温泉入り口でバスを降り、温泉街へ向かって歩いていく。蒸し暑い。
すぐに目に付いたのが「湯村ホテル」。
確かここは掛け流しの湯があったはず、迷わずそこで入浴。
もともと「志磨の湯」として自家源泉を持っていた宿だが今はビジネスホテル風の”B&B”になっている。
立ち寄り出来る湯はその2階、内湯のほかベランダ?に露天がある。
おもしろかったのは「電気風呂」。
昔は結構あったみたいだが、そのピリピリ来る感触はなんか身体によさそう。
そういえば、鹿児島の浴場にはよくあった。
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉(これは日本の温泉のスタンダードですね)
掛け流しの湯は新鮮ですこぶる気持ちがいい。
湯を出て自販機のオールド(さすが山梨)を氷で割って一杯やりながら、バスの時間までのんびり過ごしたオッサンであった。
◆芦安温泉 岩園館 (ナトリウム カルシウム 硫酸塩泉)
1泊2食 13000円 (お盆時期の料金)
山梨県中巨摩郡芦安村安通588
TEL:055-288-2005
◆湯村ホテル (ナトリウム カルシウム 塩化物 硫酸塩泉)
入浴料 1200円 (ホームページの割引券提示で700円)
山梨県甲府市湯村3-3-11
TEL:055-254-1111
2011年09月19日
北沢峠06:50-08:33双子山08:45-09:30駒津峰09:40-10:10六方石10:18-11:15山頂11:50-12:30六方石12:38-13:00駒津峰13:10-仙水峠(14:08)-15:10北沢峠
今回も戸台口までは毎日新聞旅行のバス、ちょうど1年前仙丈ヶ岳に登った時と同じルートで北沢峠へ到着。
今年は昨年とは反対側の甲斐駒への途を行く。
支度を整えて、歩きだしたのは7時少し前。北沢峠の銘板の脇を入る、いきなりの急登から始まった。
木立の中なので涼しいのが救いだが、単調な道の容赦ない登りが続く。そうでなくてもきつい登り始め、まだ覚醒していない頭と体にはこたえる。
50分ほど登り、南の木立の間から仙丈ヶ岳が見えてきたあたりで小休止。
どこの山でもそうだが、自分が登った山を眺められるのは嬉しいものだ。少し左手には北岳の姿もうっすら見える。(後でわかったのだがこの日、3週間前白馬を共にしたT君はその、この国で二番目の高みに向かっていたのだった。偶然とはいえ、すぐそこにいたとは・・・・)
そこからまた30分ほど、森林限界を超えるとほどなく最初のピーク「双児山(2,643m)」だ。
ガイドブックなどによると眺望は望めないような記述になっていたが、どっこい結構いい眺め。
これから向かう甲斐駒の雄姿も見える。振り返れば先ほどからの仙丈もでーんと座っている。
ここでは、10人ほどの登山者が休憩中。こちらもちょっとのんびり一服した。
とはいってもそうそうゆっくりもしていられない。なんせ北沢峠15:30発というバスのタイムリミットがあるのだ。
やっと眺望を楽しんだ双子山だがここからもう一度下りにかかる。だれでも思うことだが、せっかく登ったのにまた降りるなんて・・・・だが、こればかりは仕方がない。(まあ、山では普通のことですよね)
また樹林帯に入りしばらく歩くと視界が開けた。で、目の前にでーんときつそうな登りが.....
しかし、このあたりの景色は高地らしくて素晴らしい。
ときどき後ろを振り返りながらゆっくりと登っていく。
登りきると、そこは駒津峰(2,752m)。
ここまで来ると目指す甲斐駒は大きい。右に摩利支天を従えた堂々たる山容が登頂意欲をそそる。
東にはアサヨ峰がその特徴的な姿を見せている。首を回せばもちろん、仙丈も。
快晴というわけにはいかず遠くの山々はうっすらと見えていただけ(なのでお花の姿をどうぞ)だったが、それでも360度の眺めは見ていて飽きない。
素晴らしい眺めを楽しんだ後は・・・・・
また、激しく下ります。
(仙丈ヶ岳より少しだけ標高は低い甲斐駒だが、コースタイムが長いのはこのアップダウンのせいだろう)
で、下りきったところが「六方石」。
大きな岩の下がテラス状になっていて思わずまたまた一服つけたオッサンであった。
その先でルートは2つに分かれる。
目前の岩をよじ登っていく道(直登コース)と右に巻いて登っていくルートだ。
もちろん、迷わず「直登」へ挑戦。
最初のうち、手掛かりが見つけにくい岩がいくつかあるがしばらくするとごく普通の岩の登りとなる。
切り立った岩の上を行くわけでもないので、それほど高度感はない。
(実は、オッサン山ヤのくせに「高度恐怖症」←でも、結構こういう人います)
しかしここら辺りから天気があやしくなってきた。西方からガスが迫ってきて視界が悪くなる。といってもコース取りに迷うほどではない。ただ、山頂はすでにガスの中。目標が見えないのでとっても長く感じるのだが、腕時計の高度を励みに一歩一歩登っていく。
だんだん白砂が増えてきて、なんとなくもう近いかなと思ったら不意に頂上に出た。
山頂は意外と広い。そこに大きな岩があり、そこが本当の最高点か?
そこに登っている人もいるが、オッサンはここで十分。
祠にはわらじがいくつもつるされていた。
ただ、天気は相変わらず。360度ほとんど真っ白で何も見えない。
昼食をとり、しばらく待ってみたがあきらめて下山開始。
山頂直下に雷鳥のカップルがいるとの話も耳にしたのだが、残念ながらお目にかかることは出来なかった。
(でも、ここまでの道で見た景観だけでも満足だ)
下りは巻き道へ。
どっこいこいつが実に歩きにくい砂の道。
標識はしっかりしているので道迷いの恐れはないが、本当にざらざらの白砂だ。
(こういう場所ではストックがあったほうがいいのかな)
摩利支天を間近に見れる場所でちょっと一休み。
そのあと右に大きくカーブして下っていく。
ちょっとした樹林帯に入り、再び登り返すと先ほどの分岐点に出た。
(思えば、この巻き道登るほうが大変かも・・・・)
そこからは一度来た道。またまた駒津峰への登り返しだ。
(これがこの日一番きつく感じた)
駒津峰からは行きとは違う道、仙水峠経由の道を選ぶ。
時間が迫っているので本当は直接下るほうが早いのだが、あの登り返しが嫌だったのだ。
で、ここからは一気に仙水峠へずんずん下っていく。
途中一瞬だけ頂上がその姿を見せてくれたのは嬉しかったが、とにかく時間がないのでさっさと降りて行くだけ。
仙水峠からは緩やかな谷沿いの道。峠からしばらくは大きな岩の上を歩いて行くが、やがて樹林帯に入る。
仙水小屋も満員の様子で、小屋前のテーブルでは大勢の人がくつろいでいた。(うーむ、うらやましい)
宿泊者以外立ち入り禁止のロープには興ざめだが、こじんまりとしていい小屋だ。
小屋前の水がおいしかった。
ただ、ここからが意外と長かった。沢沿いの道は行けども行けども同じような様子が続くだけ。
いい加減にしてくれ~!
と思ったとき、目の前に駒仙小屋が現れた。(だいたいこんなものですね)
ここでカミサンだ、小屋の前の自販機でビールを買っている。
「バス停着いたら飲む」のだと!
なんとも用意周到。(といってもオッサンもご相伴にあずかったのだが)
結局、バス停についたのは最終20分前。
臨時のバスが出るところだったが、ビールを飲みながら最後のバスを待って広河原へ向かうバスに乗るオッサンであった。
・・・・「その2」へ続く・・・・
2011年09月17日
500円(ほかにも1000円1500円などありましたが)均一セールにまんまとはまって大量購入したものです。
1枚だけ1000円の品物もあります。(さて、どれでしょう?)
が、まあほとんどは駅のワゴンセールなどで売っているようなベスト物ですね。
3枚ほど入荷できなかったとのことでしたが、まあそれもありますよね。
でも昔LPやシングルで買ったものなど、ついその値段につられて買ってしまいました。
まだ、4枚ほどしか聴いていません。(全部聴くのはいつになるのか)
25枚で13000円。これをどう考えたらいいのか。
こちらにとってはうれしいことだが、なんとも複雑な気持ち。
以下、今回購入のリストです。めちゃめちゃな志向ですね
Nashville Fiddles: 30 Classics
Ralph Stanley & Jimmy Martin : First Time Together
Country Gentlemen: Bluegrass At Carnegie Hall
Etta James : Respect Yourself
Lovin'Spoonful: Summer In The City
Bobby Goldsboro: Greatest Hits
Skeeter Davis: End Of The World
Poco / Orleans: Live
Brook Benton : Brook Benton
Woody Guthrie : Ultimate Collection
Paul Simon: Paul Simon In Concert: Live Rhymin'
Django Reinhardt / Stephane Grappelli: Ultimate Collection
Connie Francis : Very Best Of
Clancy Brothers: Finnegan's Wake
Everly Brothers: Essential Everly Brothers
Jakson Browne: On Stage
Dave Brubeck: Take Five
Various: Essential Bluegrass Anthology
Miles Davis: Milestones
Otis Redding: Dock Of The Bay
Nick Lowe:Lately I've Let Things Slide
Buck Owens: Greatest Hits
Duke Ellington: Essence Of
Thelonious Monk: Round Midnight
Cliff Richard: Cliff Richard & The Shadows
Kingston Trio: Best Of
Roberta Flack: Soul Of: In Concert
2011年09月14日
白馬山荘05:56-06:15白馬岳06:30-07:10三国境07:15-07:40小蓮華岳07:45-09:25白馬大池09:58-10:40乗鞍岳10:45-11:40天狗原12:10-13:09栂池
翌朝は4時半頃に目覚めた。
山でまず気になるのは天気だが、外に出ると周りは霧の中。(あー、やはり昨日のうちに山頂まで行ってみるべきだった・・・と呑んべの後悔先にたたず・・・)
昨夜、小屋の喫煙所で楽しい東北の山の話をお聞きした岩手の山グループの方たちが早くも出発。
普段は東北の山々へ登っているが、年に一回は遠征しているらしい。今回がそれで、しかも何十周年だかの記念の山行だったという。今日中に帰らなければいけないので早立ちすると言っていたのだ。(でもバスの中では酒盛りだからね....っと笑っていましたが)
我々も朝食後、6時前には出発。
山頂までは昨日の雪渓にも負けないほどの行列だ。
でもそのおかげで?まだ眠っている頭と身体には丁度いい歩みだ。
靄の彼方に雷鳥が見える。
そんな風に少しずつ覚醒させてくれる要素があって、だんだんと目が覚めてくる。
20分ほどで山頂に到着。
狭い頂上にはすでに多くの登山者がいた。
晴れていればここからの眺めはもちろんのこと、これから大池までの稜線歩きは山気分を満喫させてくれるのだが...
と、思っていたら見る間にガスが切れてきた。白馬三山の二峰はもちろんのことその先には後立山連峰、槍の穂先もうっすらとだが顔をだしている。西に目を転ずれば立山の右に剱岳が圧倒的な姿を見せている。
小蓮華の彼方は妙高の山並みだろうか。
切り落ちた東側の崖のその先には安曇野のたおやかな姿がある。遠くには四阿山や八ツも見えている。
数えだしたらきりがないほどの大展望に、山頂の登山者も皆、歓声をあげている。
(北ア初体験の二人も、充分満足してくれただろう。)
ゆっくりと山頂の景色を堪能し、三国境への急な下りを降りていく。
やはり好天だと気分もいいし、足取りも軽くなる。ついついよそ見をしそうになるので要注意だ。
三国境で雪倉、朝日方面への途を分け小蓮華への登りに取り掛かる。
最初に来た時にはここからの登り返しがとても辛かった覚えがあるが、今回はそれほどでもない。コマクサの可憐な姿を愛でながら、なぜかすいすいと歩を進めてあっという間に小蓮華山頂に到着。
昔、立った頂上は現在では崩壊の為立ち入り禁止。(そもそも当時の頂上の場所はもうない)
ここからは先ほど歓声を上げて立っていた白馬が素晴らしい。行く手には白馬大池もその姿を見せている。
景観を見ながらの休憩の後、その大池を目指す。しばらくは緩やかなアップダウンを繰り返す山上の楽園の道だ。
右手の谷には昨日通った白馬尻の小屋と雪渓のしっぽも見えている。(ちょうど一日前にはあそこにいたんだ)
この辺りにも夏の花たちが咲き誇っている 。
タカネナデシコやハクサンイチゲ、ダイモンジソウにコゴメグサ、コバイケイソウもその華穂をすくっと立たせている。何度も立ち止まって風景を楽しみ、のんびりと歩いていった。
そんな風に進んでいくとやがてハイマツとシャクナゲの下りとなり大池へと降りていく。ここが雷鳥坂だ。これまで二回ここを通ったが二度とも雷鳥に巡り合っている。今回もいてくれるといいんだが・・・同行の二人には北アデビューの記念?にぜひ見せてやりたい。
大池の姿がぐんぐんと大きくなっていく。 以前雷鳥に出会った場所が近づいてきた。
そして・・・ まったく同じ場所に、今回もいてくれた。
ひと組の夫婦がハイマツの間から顔を出し、熱心に何かをついばんでいる。
何度も見てはいるのだが、やはり単純にうれしい。
彼らに別れを告げ、なおも下っていく。白馬大池の周りもお花畑で有名だ。ここら辺ではイワイチョウやハクサンコザクラが咲いている。果穂の先に露をつけたチングルマも美しい。
大池山荘前では大勢の登山者が休んでいる。僕らもここで大休止。今降りてきた坂がガスで隠れるのを見ながら軽食をとる。T君はやはりテン場が気になるようだ。ここだったらどの辺に陣取るのがいいのかなあ、などと考えていたらしい。
小屋の裏に出て大池の周りを進む。池のほとりでは「大きなオタマジャクシがいる」と叫んで?いる若者がいた。「何々?」と覗くと、やはりクロサンショウウオだった。しかし大きなオタマジャクシとは誠に言い得て妙である。
ここから(白馬)乗鞍まではまたしばらくの登り返し。池を3分の1ほど回り込み、あとは安山岩の上を伝っていく岩の道となる。途中残雪にステップを刻んでいる(おそらく山小屋の)方がいた。登山道の刈り払いにしてもそうだが、こういった方たちのおかげで快適な山歩きができるのだ。気持ちをこめて「ご苦労様です」と言って通り過ぎる。
ひと汗かいて登りついた乗鞍岳(2450m)の頂上は平原j状に広がる台地だ。大きなケルンが山頂の目印だが特に小高い丘でもない。ハイマツが広がる平坦な歩きやすい道を行くと、またしても雷鳥くん発見。今度はちと遠いが本日3回目の出逢い。
頂上台地を縦断すると北へ急傾斜の下りとなる。この先の雪渓がどのくらい残っているか気になっていたが、それほどでもなかった。
滑りやすい岩ゴロの道をどんどん下り、突然樹林が途切れるとそこが天狗原。
ヒオウギアヤメやワタスゲが美しい、高原の湿地帯である。足元にはツマトリソウのかわいい姿も・・・・ここまでくればあとはもう少し。
ゆっくり昼飯を食ってから、栂池を目指す。
栂池の建物群が見えてからが長い。山小屋が生ビールに見えてくる。「早く冷たいヤツを飲みてえ..」と、考えながらジグザグの急坂を下っていった。(勿論、ロープウェイで下る前に乾杯)
源泉掛け流しの湯につかり、山の汗を流す。湯口には枡も置いてあり、飲泉もOK。 (単純泉ということで、クセのない味)
露天もあって解放感抜群。ロープウェイの駅にも温泉はあるが、ほんの少し歩くだけ。こちらのほうがお勧めだ。
帰路は長野駅から現役の「あさま」に乗車。
すばらしかった2日間のあれやこれやを肴に、一杯やりながら帰っていく一行であった。
◆栂池温泉 元湯栂の森 (単純泉 =低張性・弱アルカリ・高温泉=)
入浴料 700円 (ロープウェイチケット提示で500円に割引) 9:00~23:00
長野県北安曇郡小谷村栂池496-1
TEL:0261-83-3300